前回のツアーから2年。東京を皮切りに全国3都市を巡る川田まみ待望の全国ツアーが12月14日、地元・札幌でファイナルを迎えた。
当日の札幌は気温がマイナス3度と冷え込んでいたものの、会場のペニーレーン24は、開場してまもなく満席状態に。ツアーTシャツに着替え、まだ誰もいないステージを見つめる人、東京・大阪にも参戦したファンがその様子を語り合う姿。皆がこれから始まるライブに胸をときめかせ、会場全体に期待感があふれる中、開演時間ぴったりにステージは幕を開けた。

1曲目の「Break a spell」のSEが流れ出すと、期待は歓声に変わり、フロア全体がブルーのサイリウムで埋め尽くされる。さらにイントロのドラムに合わせて、自然と始まるハンドクラップ。今年2月にリリースした当初、「ファンと一緒に成長させていきたい」と語っていた「Break a spell」は、フェスやイベントでプレイし続けてきたことでギターリフに合わせたoioiコールなども定着。今やファンと一体となって楽しめる曲に成長し、1曲目の時点で早くも会場が熱気に包まれた。そして、そのテンションはスピード感のある「Borderland」で、さらなる高まりへ。

「もうすでに一杯ひっかけてきたくらいテンションが高くて、うれしいです。東京、大阪ではかわいいまみちゃん、格好いいまみちゃん、さらには癒しのまみちゃん、セクシーなまみちゃんを見せてきたけど、今夜はファイナル。私のすべてを皆さんに捧げます!」と、バリエーション豊富な楽曲を予感させ、「とある魔術の禁書目録」の「masterpiece」「PSI-missing」へつなげていく。そして、この日2度目のMCで、今回のツアータイトルについて語り始めた。

「『ひと足先に』や『一歩前へ』という意味を持つ『One Step Ahead... 』と付けたのは、ツアー開始の11月は大きなイベントのない中途半端なタイミングだったから。せっかくなので、みんなで“ひと足先”に年末を楽しむ会にしようと思ったんです」。そう語りつつ、「忘れてたわけではないんだけど、札幌公演だけは12月も中旬で、もう年末の真っ最中(苦笑)。だから、なんとなく『ワンステップアヘーッド!』って感じで盛り上がりましょう!」と釈明して笑いを誘う。ここからは内容的にも“ひと足先”を感じてもらいたいと、正式な音源としてリリースされてない曲を“ひと足先に”お届けするコーナーに突入した。

「belief」「Wing of Courage -空を超えて-」「INITIATIVE」の3曲はどれもゲームでしか聞けないレア音源。11月13日に発売されたセガのPS3/PS ViTA専用ゲーム「電撃文庫 FIGHTING CLIMAX」、さらに11月28日に発売されたばかりのPCゲーム「蒼の彼方のフォーリズム」とその前作である「恋と選挙とチョコレート」のテーマソングがこのツアーで初めてライブ演奏された。

演奏後のMCでは、大阪公演に続き、札幌公演でも前列のファンの中にセガのラッキーくじでしか手に入らない「belief」が収録されたCDや、PCゲームのパッケージを持ってきている人がいて、それをまみさんが受け取って「これです!」とフロアやバンドメンバーに見せて回る一面も。借り物のPCゲームを「はい、一万円から!」と勝手にオークションしようとしたり、「私も南郷13丁目のTSUTAYAでセガのラッキーくじを引きました」と地元ならではのトークをしたり。クールに歌っている時とおちゃめなMCとのギャップに爆笑が起こり、会場全体が一気にアットホームな雰囲気に包まれた。

続く「Angel // resident of the nightmare」「雨」「For our days」はどれもCD化されているものの、これまでなかなかライブで聞けなかった曲。ミディアムテンポのナンバーからスローバラード、さらにはキラキラとした胸キュンソングまで、まさに“いろいろな川田まみ”を見せつけ、それまでロック色の濃かったセットリストの中でも異彩を放つ。何より極めつけはKOTOKOさんのカバー「snow angel」。「冬を“ひと足先”に感じてもらいたい」との想いからセットリストに加えたという一曲は、今回のツアーで一番の目玉であり、一連の選曲の幅広さからガールズバンドとしての成長も垣間見えた。さらにこの曲だけファンがサイリウムの色を白に変え、フロア一面が雪原のように埋め尽くされていたのも感動的だった。

「snow angel」を終え、まみさんは一旦ステージを去って衣装をチェンジ。その間、MIZUKIがドラムソロで会場を盛り上げ、「IMMORAL」で終盤戦がスタートする。ここからは「triangle」「緋色の空」のシャナメドレーで一気にたたみ掛け、原曲よりもディストーションを効かせたメタル色の強い「intersection」をライブで初めて披露。さらに「Going back to square one」「JOINT」とバンドスタイルの真骨頂とも言える激しいナンバーが息つく間もなく続く。そして、ラストはライブのために書き下ろされた一曲「CARPE DIEM」を、みんなでジャンプしながら楽しんだ。

アンコールは、ライブで久しぶりに演奏される「precious」、そして今や定番中の定番曲「No buts!」で最高潮の盛り上がりに。終演後、ステージにI‘ve代表の高瀬一矢さんがサプライズで登場し、高瀬さんの手から全公演を終了したまみさんに青一色の花束「まみっじブルー」(高瀬さん命名)が手渡され、ツアーのラストを締めくくった。

地元・札幌での約2時間強に渡るライブ。札幌はほんの2年前まで「シャイボーイが多い」と言われてきた。だが、それも過去の話だろう。今回のライブでは、曲が始まると同時にサイリウムを振り上げ、割れんばかりの歓声とあふれる熱気に包まれていた。そして、MCになると打って変わって地元ならではの温かいアットホームな空気が流れ出す。今回のツアーは、これまでのアルバム発売を記念したツアーとは違うため、さまざまな楽曲が散りばめられていたのも大きい。だからこそ、まさに“川田まみフェス”というべき濃い内容を楽しめ、その1曲1曲には、I’veの歌い手として刻んできた歴史はもちろん、“ひと足先”の姿までもが詰まっていたように感じた。

MAMI KAWADA m.a.l.l LIVE 3rd STAGE “One Step Ahead…”
2014.12.14(SUN) 札幌 PENNY LANE24
【SET LIST】
1.Break a spell
2.Borderland
3.masterpiece
4.PSI-missing
5.belief
6.Wing of Courage -空を超えて-
7.INITIATIVE
8.Angel // resident of the nightmare
9.雨
10.For our days
11.snow angel
12.IMMORAL
13.triangle
14.緋色の空
15.intersection
16.Going back to square one
17.JOINT
18.CARPE DIEM
EN1.precious
EN2.No buts!